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1月8日投稿 なぜ最近の大規模修繕工事は「高すぎる」と感じるのか?

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  • 大規模修繕工事

― 工事費高騰の本当の理由 ―

「前回の大規模修繕より、明らかに金額が高い」
「修繕積立金が足りないと言われたが、本当に妥当なのか」

近年、分譲マンションの理事会や総会で、
大規模修繕工事の工事費に対する違和感が、これまで以上に強くなっています。

実際、最近の大規模修繕工事は「高くなった」と感じるのが自然です。
ただし、その背景は単純な値上げではありません。
そこには、構造的に避けられない要因と、見直す余地のある要因が混在しています。


資材価格の高騰は、確かに避けられない現実

まず分かりやすい要因が、建設資材の価格上昇です。

  • 鋼材
  • 防水材
  • 塗料
  • 足場資材

これらは、世界的な資源価格の高騰、為替の影響、物流コスト増などにより、
数年前と比べて明確に上昇しています。

この点については、
「工事費が上がる理由」として多くの方が納得できる部分でしょう。

しかし、管理組合が感じる
「それにしても高すぎる」という感覚は、
資材価格だけでは説明しきれません。


実は大きい「労務費」の上昇という現実

ここで、あまり知られていない重要な資料があります。

それが、**国土交通省が毎年公表している「公共工事設計労務単価表」**です。

【以下、国土交通省ホームページ掲載資料抜粋】

参考URLhttps://www.mlit.go.jp/report/press/content/001864366.pdf

この労務単価表を見ると分かるのですが、
建設業の職人単価は、毎年のように上昇しています。

これは一時的な話ではなく、

  • 建設業界の高齢化
  • 若手職人の不足
  • 働き方改革による労働時間制限

といった背景による、構造的な人手不足が原因です。

大規模修繕工事は、
塗装、防水、下地補修、足場など、
多くの専門職が関わる工事です。

つまり、

人を集めるだけでコストがかかる時代
になっているのです。


それでも「高すぎる」と感じる本当の理由

ここまでの説明を聞くと、
「じゃあ高くなるのは仕方ないのでは?」
と思われるかもしれません。

しかし、多くの管理組合が感じている違和感は、
資材高騰や労務費上昇“だけ”ではありません。

問題になるのは、次の点です。


工事内容が「本当に今必要か」が分からない

見積書を見ても、

  • この工事項目は本当に今やる必要があるのか
  • 次回の大規模修繕に回せるものではないのか
  • 仕様や数量が過剰になっていないか

こうした判断を、
理事会や管理組合だけで行うのは非常に難しいのが実情です。

その結果、
「専門家が言うなら仕方ない」
という形で工事内容が積み上がり、
気づけば工事費が想定を大きく超えてしまうケースも少なくありません。


競争原理が働いていない見積になっていないか

もう一つ重要なのが、
施工会社選定のプロセスです。

  • 参加会社が毎回同じ
  • 公募条件が厳しすぎて数社しか応募できない
  • 実質的に価格競争が起きていない

このような状態では、
工事費が高止まりしやすい構造になります。

重要なのは、
「談合があるかどうか」を断定することではありません。

競争が働きにくい仕組みになっていないか
ここを冷静に確認することです。


大規模修繕は「工事」ではなく「選択の積み重ね」

大規模修繕工事は、
単に古くなった部分を直す作業ではありません。

  • どこにお金をかけるのか
  • どこは今回は見送るのか
  • 将来の修繕費をどう抑えるのか

数十年先を見据えた意思決定の連続です。

工事費が「高すぎる」と感じたとき、
それは価格そのものよりも、

「この内容が、本当に今のマンションに最適なのか?」

という疑問が生まれている状態とも言えます。


工事費高騰の時代に、管理組合が持つべき視点

これから先、
大規模修繕工事が大きく安くなる時代は、正直考えにくいでしょう。

だからこそ重要なのは、

  • 工事内容を精査する視点
  • お金をかける部分・抑える部分の判断
  • 客観的データ(労務単価など)に基づいた説明

そして、
管理組合の立場で「ブレーキを踏める専門家」がいるかどうかです。


LCMが考える「納得できる工事費」とは

LCMでは、
「とにかく安くする」ことを目的にはしていません。

  • 必要な工事には、きちんとお金を使う
  • 不要・過剰な工事は行わない
  • 将来の修繕費まで含めて最適化する

“根拠のある、納得できる工事費” を目指しています。

もし、
「この見積、本当に妥当なのだろうか?」
と感じているのであれば、その感覚は決して間違いではありません。

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